楽しくて怖い「ベルリン・ウォール」
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4月18日
<ABAの前の駐車場にて日記を書く>
今、この日記を書いていることが幸せです。
喉元過ぎれば・・・ではないけど、大変だった今日の事を、すでに忘れ始めている。人間ってほんっと適当な生き物なんだな、と。
飲みながら書いているので、何を書いているのかよく分らんが。
今日は、バルディーズでハイク&スキー。
ニックス・ハッピーバレーというルート。気持ちよさそうな30〜35度の斜面が続くメローなルート。
セイナロッジの駐車場から車で5分。真っ白な斜面が続く斜面を見渡せる場所に車を停めてハイクの準備をする。

車で今日のポイントまで移動。すばらしい景色と快適な道。 |

本日のご馳走はこちらです! |

ガイドブックを見ながら、ルートを確認。
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ハイクを始めてちょっと行ったところで、先頭を新井さんから関根さんに交代。ハイペースでがんがん登っていく。後で聞いたら、ターナゲンパスの日記(4/16)で「新井さん、関根さんにも間隔はあるが、ついていけてる。」というのを読んで、「そんなこたーない!」とばかりに飛ばしたそうだ。
もちろん全くもってついて行けず、新井さんもだいぶペースを落として自分に合わせて登ってくれている様子。

一気に引き離される。ペース早いよぅ・・・ |

眼下に先ほどまでいた道路。景色も開けてくる。 |
30分ほど登ると、右手に、「ベルリン・ウォール」という4つのシュートがある岩肌の山が見えてくる。
いかにもアラスカっぽいかっこいい斜面。斜度はヤバくはなさそうに見える。見た目がともかくかっこいいので、「ベルリン・ウォールかっこいいすね!」とか言ってみる。
結局、当初の予定を変更して、ベルリン・ウォールを滑ることに。

おおお!!! |

これは!かっこいい斜面だ!! |
この時はまだ、この斜面を登り、滑ることがどれだけ大変なことか分っていなかった。
斜面に取り付くと、斜度は40度ほどになる。シールではジグを切るのがきつくなってきたので、シールをやめてつぼ足に変更。すぐに45度くらいの斜度になる。トップを新井さん、続いて関根さん、ラストが自分。
45度くらいの雪壁は、短い距離ながらも登ったことがあったので、特に気にせず関新コンビの後を追っていた。
しばらく登ると斜度は55度に!!(新井さん確認)。下を見るとかなり高い(当たり前!)。背中にスキーをしょってるので、斜面から引っぺがされそうだ。
このまま落ちたら大変なことになる・・と思いながら、上を見て足を進めるが、登れば登るほど高度感は増す。猫が夢中になって木に登り、降りれなくなるという間抜けな話を聞くが、まさにその状態。しかもヘルメットはザックにくくりつけあり、被るのを忘れた・・・先行の二人はスルスルと登っていく。自分は取り残されていく。55度の斜度ではスキーを履くことさえも、おっかなくて出来ない。ともかく、この先の斜度が落ちることを信じて足を進める。

ここからつぼ足で直登。 |

先頭を行く新井さん。あの先が最大傾斜55度。クライミングかいな。 |
人間は精神的なものが、体に大きく影響する。
このような状態では、体は完全にこわばり、ペースも落ちる。
無意味に下を見てしまう。
最悪のことを考えてしまう・・・・
このまま、キックステップが決まらなかったら真っ逆さまだな。
フォールライン上には岩がなかったと思うけど、ちょっと左にずれたら岩にブチ当たるかな。
岩に当たらなくても、ヘルメットもしてないし大怪我するかな。
大怪我しなくても、400mとか滑落するのは絶対いやだな・・・
「怖い!!」
うーん、言ってはいけない言葉を発してしまった。「怖い」なんて言葉はこの状況じゃ無駄なだけだし、何の解決策にもならん。ともかく、一歩一歩着実に歩を進めるしかない。どうしようもならなくて、母親にすがりつきたいような気分。
アルピニストは偉大だ。何千メートルという山を、自分と斜度と闘いながら登り続けるのだから。
斜度は少し落ちてきた。前の二人は板を履いてシールで登り始めている。ともかくあそこまで行けばなんとかなると思い、こわばった体に「大丈夫だ」と言い聞かせながら進む。
シールに変えるポイントも斜度は45度ほど。板を履くのは困難。体が動かん。板を履いてもシールがスリップすれば・・今まで登ったところを体で直滑降だ。いやだ。
山の肩まで行った所で、滑り出すことになった。稜線は硬く、これ以上登っても滑って楽しくない・・ということで。
滑る準備をして、今までの恐怖と戦ってきた斜面と対峙する。
まずは新井さん。
「ひょー!」と奇声を上げながらドロップ。
ロールオーバー(斜面が落ち込んでいて先が見えない)なのでしばらく見えないが、しばらくすると猛スピードでボトムに現れた。
無線で、「途中で雪崩れた。チョッカッテ難を逃れた」みたいなことを言っていた(登りの恐怖で動揺しててよく覚えてない)。
続いて、関根さん。これまた「ひょー!」っと奇声を上げながら、着実かつ、攻めながらターンしていく。
残るは自分ひとり。
アラスカに来て、まさにアラスカみたいな斜面を滑る時が来た。登りの恐怖で体がまだこわばっている。
ともかく、気合を入れるために「シャー!」とか声を出してみる。体を動かしてみる。
無線で交信して、ドロップ。
スキーを下に向ける。
ターンを入れる。
スピードが出る。
雪は少しクラストしているけど、ともかく下へ下へ。
途中で関根さんから無線が入る。「びびってる、びびってる!」
スピードを出す。
体を前に持っていく。
いい感じ。
ボトムへ到着!

自分の滑り。写真だと斜度が出ていないが、これから核心へ。雪崩の破断面がはっきりと分かる。
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ああ、生きている!!
でも、もう少し攻められたはずだ。
そこから下は、気持ちのよいパウダーの斜面。気持ちよく3人で滑る。おいしいデザート。ご馳走さま。

ベルリンウォールを滑り大満足! |

やっとほっとできた〜。 |
道路まで降りてみんなでハイになってビールをプシュっと。滑った斜面を見ながら装備を外す。最高!!
今日のハイク&スキーは、自分にとってあまりにも刺激的で、未体験で、新しい次元の事だった。
大休止を入れた後は、バルディーズの町へ。本当にきれいで寂れた港町だ。コインランドリーに併設されたシャワールームでここ数日間の汚れをこそぎ落とす。気持ちイー!
スーパーに寄って、セイナロッジの駐車場に戻る。

思わず走り出したくなるような峠道。 |

こちらが有名なトンプソン・パスでございます。看板には銃の弾痕が残る。なんかワイルドだ。 |

日本の感覚からすると、信じられないような光景。 |

まるでアルプスのような景色だ。 |

鮫の歯のように鋭く乱立する岩山と、突然現れた大地の割れ目。写真で大きさが出ないのが残念だ。

ランドリーに到着。 |

日本のコインランドリーと大して変わらない。 |

ランドリーの奥にコインシャワーが。10分4ドルなり。 |

三方を山に囲まれた静かな港町。のどかだ。 |
セイナロッジにある「バルディーズ・ヘリガイド」では、佐々木大輔さんや佐々木明さん(トリノオリンピック回転競技選手)、スキージャーナルの編集長や、カメラマンの菅沼さんがいた。今日はヘリ+ハイクでかなり良かったようだ。
(この時撮影された写真や映像は、後にスキージャーナルなどに掲載される)
明日の天候も良さそうなのでヘリ!と思ったが、バルディーズ・ヘリガイドは満員。一発ヘリで登って、あと何本かハイクするのは空いてるらしい。せっかくだからヘリで何本も飛びたいということで、バルディーズ・ヘリガイドは諦め、ABAへ。
って、書いてたら、酒のせいか、単に文才がないだけか、「いつまで書いてるの!今日は楽しかった。佐々木明に会った。それだけでしょ?」って関根さんも新井さんも言うので、この辺で終わりにします。
「今日は楽しかった!」
「そしてこわかったなぁ・・」
明日はヘリだ!!

ABAの駐車場には世界から集まった滑り手達のキャンピングカー。
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我が日本チームのミニバンの中では野郎3人が酒盛り中。 |
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